こんにちは、木村耕一です。
イソップ物語から、ちょっと怖い話を一つ紹介しましょう。
あまーいハチミツの話です。
蔵の中に置いてあった壺が倒れ、蜂蜜が流れ出した。
金色に光る液体が、床の上に広がっていく。
いい香りに誘われて、ハエたちが集まってきた。
こんなにおいしいご馳走は、めったにない。
蜜の甘さのとりこになって、夢中に食べ始めた。
そのうちに、彼らの足が、ねばねばした蜜にはまって、飛び立てなくなってしまった。
もがけばもがくほど、体が、蜜の中に沈んでいく。
やがて息もできなくなってしまった。
甘い蜜におぼれて死ぬ時に、ハエたちは言った。
「ああ、哀れなものだ。こんな短い快楽のために、身を滅ぼすなんて……」
(『こころの朝』より)
蜂蜜に引き寄せられ、甘い密を楽しんでいたのに、やがては、その密のために身動きができなくなり、苦しみながら死んでいく……。
何か、ドキッとしませんか。
人生を凝縮したような例え話です。
「こんな短い快楽のために、身を滅ぼすなんて……」
とてもハエの言葉とは思えませんね。
お金や財産、地位・名誉、恋人、結婚、子供……。
私達にも、欲しい蜂密はたくさんありますが、はたして、このハエと同じ結末を迎える恐れはないでしょうか。
蜂蜜におぼれたハエのような死に方をした人が、歴史上、どれだけあったか分かりません。
大切な命だからこそ、悔いを残すような生き方は、したくないないですね。
こころの朝
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN4-925253-18-2
http://www.10000nen.com/?p=592
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