イソップ物語「いじめられたら、仕返しをしますか。不幸の拡大を防ぐ方法は?」キツネとツル

こんにちは、木村耕一です。


他人をいじめたり、苦しめたりしたら、どうなるか……。
やがて必ず、自分も同じような苦しみを受けることになります。
イソップ物語は、次のように教えています。

ある所で、ツルが餌を探していた。
ずる賢そうなキツネが、ニタニタ笑いながら近づいてくる。
「やあ、ツルさん。お腹がすいているなら、私の家に来ませんか。ご馳走しましょう」
「まあ、それはうれしい。お言葉に甘えます」
ツルは喜んでキツネの家に向かった。


キツネは、浅い皿に、料理を薄くのばして持ってきた。
「あなたは、硬いものを食べることができないでしょう。だから、わざわざ、スープにしたのですよ。さあ、召し上がってください」
しかし、ツルの長いくちばしでは、どうしても食べることができない。
キツネは、さも残念そうに、
「食欲がないのですね。では、私が代わりにいただきましょう」
と言って、ツルの分まで食べてしまった。
いつまでも笑っているキツネを見て、ツルは、からかわれたことに気づいた。悔しくてならない。
「必ず、この仕返しをしてやる」と心に決めて帰っていった。


数日後、ツルはキツネに出会った。
「キツネさん、とってもおいしい食べ物が手に入ったんです。ご馳走したいので、私の家に来ていただけませんか」


ツルは、細長い壺の中に料理を入れて、キツネの前に出した。
おいしそうなにおいがする。
だが、キツネは、壺の中に口を入れることさえできない。
それでも、なんとか食べようと、壺の周りをぐるぐる回っていた。
ツルは、
「あなたはバカじゃないですか。なんで食事中に踊っているの。食べ終わってから、ゆっくり踊りなさいよ」
と、からかった。
今度は、キツネが悔しそうに泣きながら帰っていった。


他人に意地悪をすると、やがて自分も同じ目にあうことを忘れてはならない。

    (『こころの道』より)


この話を読んで、キツネは悪者、ツルは被害者、というイメージをもちませんか。
たしかに、ツルはキツネに、いじめられました。
仕返しに成功したツルは、気持ちが晴れたかもしれません。


しかし、たとえ仕返しであっても、他人を苦しめたことに間違いありません。それは悪です。ツルはキツネと同じ悪を犯したのです。今度は、その報いを、いつか必ず、自分が受けていかねばなりません。


これを日本では、昔から「因果応報」「自業自得」と教えられています。
「仕返し」や「報復」を、当然の権利のように思う心が、実は、不幸を拡大させているのではないでしょうか。



こころの道

木村耕一編著

定価 1,575円(税込)

(本体1,500円)

四六判上製 296ページ

ISBN4-925253-14-X

http://www.10000nen.com/?p=595


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