イソップ物語「すぐに、むらむらと、欲の心が動き出しませんか」肉をくわえたイヌ


こんにちは、木村耕一です。


イソップ物語に、バカな犬の話があります。
子供ならば、笑っておしまい、かもしれません。


愚かな犬に、自分を重ねてこそ、大人の読み方なのでは?
さて、この話、どう読み解きますか。

一匹のイヌが、どこで拾ったのか、大きな肉をくわえて歩いている。
落ち着いて食べられる場所を探しているようだ。


やがて小川にさしかかった。
川の水は、鏡のように美しい。
イヌは、ゆっくりと橋を渡り始めた。


ふと、下を見ると、そこにも一匹のイヌがいる。
しかも、自分の肉より、大きくて、おいしそうな肉をくわえているではないか。うらやましくなってきた。
「よし、脅かして、あいつの肉を奪ってやろう」
イヌは、思いっ切り大きな声で吠えた。


それは、川の水に映った自分の影だとも知らずに……。
ジャッポン──。


とたんに、くわえていた肉が、川の中に落ちて、流されていく。
川に映っているイヌの肉も、同時に消えたことはいうまでもない。
イヌは、せっかく手に入れた肉を、失ってしまったのであった。

     (『こころの道』より)

「隣の芝生は青い」という諺があるように、他人のものは、ついついよく見えてしまいます。
そして、「もっと欲しい、もっと欲しい」という心が動きます。
他人と比べずに、現在の境遇に感謝することができたら、どんなに幸せでしょうか。


でも、すぐに、むらむらと、欲の心が動き出しませんか。
そんな時、
「ああ、川に肉を落としたバカな犬と、同じだなあ」
と、この話を思い出してみてはどうでしょうか。
少しは、心が落ち着くかもしれません。



こころの道

木村耕一編著

定価 1,575円(税込)

(本体1,500円)

四六判上製 296ページ

ISBN4-925253-14-X

http://www.10000nen.com/?p=595


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