こんにちは、木村耕一です。
外の風景が、真っ白です。
ここは新潟県内を走る特急電車。
窓から見える山も、田畑も、白い雪におおわれ始めました。
「初雪だ、美しい」という心境にはなれません。
「しまった! もっと早く、車のタイヤを、雪道用に交換しておけばよかった……」
と悔やむ心が出てきます……。
こんな怠け心を戒める例え話が、イソップ物語にあります。
イノシシが、木の側に立って、牙を研いでいた。
キツネが、不審に思って尋ねた。
「猟師もいないし、危険が迫っているわけでもない。なぜ、そんなに一生懸命、牙を研ぐんだい」
イノシシは、あきれた顔で答えた。
「君には、無意味に思えるのかい。危険は不意にやってくる。猟師が現れてから牙を研ぎ始めたのでは、間に合わないじゃないか」
(『こころの朝』より)
秋の次には冬が来きます。
冬になれば雪が降ります。
車のタイヤを雪道用に交換しておかないと、危なくて運転できません。事故のもとです。
やがて必ず雪が降ると分かっているのに、準備を怠り、あわててしまうのは情けないですね。
その点、この冷静なイノシシは立派だと思います。
イノシシは、猟師に狙われれば命を落とします。
しかし、必ず猟師に出会うとは限りません。
これから起きるであろう危険を予測し、ふだんから備えていれば、たとえ不測の事態に見舞われても、被害を最小限に食い止められるはずです。
これは、日常生活やビジネスだけでなく、人の一生を考えるときにも大切な心構えだと思います。
よく考えてから「猪突猛進」しないと、いつか大きな壁に激突してしまうことを、イソップは言いたかったのでしょう。
こころの朝
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN4-925253-18-2
http://www.10000nen.com/?p=592
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