伊達政宗、戦国大名の「引っ越しの心得」



こんにちは、木村耕一です。


仙台藩の基礎を築いた伊達政宗は、「引っ越しの心得」を、次のように教えています。

「国替え、屋敷替えなどの時は、家の中を、すみずみまで掃除して、塵さえも残さぬようにしてから、立ち去るべきである。
また、破損した所は修理し、崩れた壁は塗り直してから、次の人に渡すべきだ。
それは、後からいろいろと非難を受けることを避けるためである。
武士の名を傷つけないように、常に心がけなければならない。
もし、父子、兄弟の間で屋敷を譲る際に、このような問題があったならば、他人相手よりも恥ずかしいことだ」
(『こころの朝』より)



戦場で勇ましく戦うだけが、武士の名誉ではなかったのです。


「他人に迷惑をかけない」
「整理整頓に心がける」
「借りた物は、元の状態に戻してから返す」
これらは、人として当たり前のことであり、実践してこそ信用されます。


政宗は、
「日ごろから、当たり前のことを、きちんと実行する緊張感がなければ、戦場で命を懸けた働きなどできないぞ」
と叱っているのです。
今日でいえば、「中途半端な仕事しかできないぞ」という戒めにあたります。


政宗は、秀吉に脅されても、家康に利用されても、困難を克服して、東北に確固たる地盤を築き上げました。
その気概の一端を表した言葉だと思います。




こころの朝
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN4-925253-18-2
http://www.10000nen.com/?p=592