イソップの教訓「根気よく働けば、幸せはついてくる」



こんにちは、木村耕一です。



「幸せになってもらいたい」
どんな時も、親が子供に望むことは、これ一つではないでしょうか。
2500年前のイソップ物語に、次のようなエピソードがあります。



広いブドウ畑を持つ農家があった。
この家の主人は、病で寝込んでいたが、もう長くは生きられないと覚悟した。
心配なのは、3人の息子のことである。
どうすれば、まっすぐに生きてくれるだろうか……。
それだけが、親の願いであった。
まもなく父親は、枕元に子供たちを集めて、重大なことを告げたのである。


「おまえたちは知らないだろうが、実は、あのブドウ畑には、宝物が隠してあるのだ。
私が死んだあとで、ゆっくりと土を掘って、探し出すがよい。
その宝を手にして幸せになるんだぞ」


父親が息を引き取ると、3人の息子は、それぞれ鋤や鍬をかついでブドウ畑へ向かった。
手分けして畑を掘り返していく。
来る日も、来る日も、汗を流しながら土を掘っていくが、なかなか宝物は見つからない。


「お父さんがウソをつくはずがない。もうちょっとだ、がんばろう」
兄弟は、力を合わせて、畑の隅から隅まで掘り返したが、ついに、何も出てこなかった。


しかし、根気よく土を掘り返したおかげで、ブドウがよく育ち、例年の何倍もの実をつけたのであった。
豊作になれば、当然、収入が増える。
3人の息子は、大喜びであった。


「今まで、こんなに一生懸命に、畑を耕したことなどなかったね」
「お父さんが、宝物が埋まっていると言ってくれなかったら、とても、できなかったことだと思う」
「根気よく働けば、幸せはついてくるんだ」
「この戒めこそ、僕たちが掘り当てた宝物だよ」


父親が残した宝物を、しっかりと受け取った3人は、その後も苦労をいとわず、まっすぐに生きていったのである。
(『親のこころおむすびの味』より)


この父親が残してくれた宝物は、宝くじに当選して何億円を手に入れるよりも、価値があるものだとは、思いませんか。



親のこころ おむすびの味
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 304ページ
ISBN4-925253-15-8
http://www.10000nen.com/?p=571