勝海舟の父「息子よ、父がついているぞ」。70日間の看病

こんにちは、木村耕一です。


父親が子供を思う心は、母親に劣りません。
その心の大きさは、勝海舟の父にみることができます。


勝海舟は、9歳の時に死にかけました。
麟太郎と名乗っていたころです。


漢文を習いに行く途中、野良犬に襲われ、睾丸をかまれたのでした。通りかかった人が、自分の家で介抱し、すぐに父親に連絡しました。


父は病気(脚気)で寝ていましたが、知らせを聞いて飛んできたのです。
麟太郎は、真っ青な顔をして、息も絶え絶え。
医者に、「命は助かるか」と尋ねると、
「どうも難しい」という返事。


そこで、父は、
「おまえは武士の子じゃ。犬などに負けてはならぬ!」
と励まし、駕籠に乗せて、家へ連れて帰ったのです。


すぐに別の外科医が呼ばれました。
傷口を縫い始めたのですが、麻酔薬がありません。
麟太郎は激痛をこらえ、震えています。


医者は、
「今晩もつかどうか、保証できない」
と言います。
 

この言葉を聞いて、家中の者が泣きだしました。
父親は、
「バカやろう。こんなことぐらいで麟太郎が死ぬもんか!」
と叫んで、外へ飛び出したのです。裸になって、井戸水をくんでは頭からかぶり、息子が助かるように、必死に願いました。


家に入ると、麟太郎は苦しそうにうなっています。
父は裸で側に寝て、震えている息子を抱きかかえるようにして温め、
「麟太郎、死ぬなよ。父がついているぞ。がんばれ」
と耳元でささやき続けました。


父は、来る日も、来る日も、井戸水をかぶり、息子の側に寝て、励ましました。
しかも、それは70日間も続いたのです。


父親の必死の思いが通じたのか、麟太郎は、ようやく傷が癒えて、床から離れることができるようになったのです。


こんな壮絶な看病が、あるでしょうか。



「自分を、これほど大事に思ってくれる父がいる」という安心感は、とても大きな生きる力を、子供に与えたことは間違いありません。


新装版 親のこころ

木村耕一編著

定価 980円(税込)

(本体933円)

四六判 192ページ

978-4-925253-51-2

http://www.10000nen.com/?p=2260



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