水戸黄門「誕生日は、最も粗末な食事でいい」



こんにちは、木村耕一です。


親は、子供の誕生日になると、ケーキを買ってきたりして祝います。
人間として、この世に、生まれることができたのですから、これほどめでたい日はありません。
しかし、親にとっては、どういう日だったのでしょうか。


水戸黄門として有名な徳川光圀は、母親を亡くしてから、自分の誕生日には、粗末な食事しかしなくなりました。


家臣が、誕生祝いにと、鯛を取り寄せ、赤飯を炊くと、
「また忘れたのか。誕生日の食事は、白粥と梅干ひとつでよいと、言っておいただろう」
と叱ったといいます。


水戸黄門に、
「なぜ、誕生日には粗末な食事なのですか」
と、尋ねると、こう答えるに違いありません。


「なるほど、誕生日は、この世に生まれた祝うべき日であるかもしれない。
しかし、この日こそ、自分が亡き母上を最も苦しめた日なのだ。
それを思うと、おいしい料理でお祝いする気には、どうしてもなれぬ。
母上を思い、母上のご苦労を思って、この日だけでも、粗末な食事で、ご恩を感謝したい」


古歌にも、次のように詠まれています。


「諸人よ 思い知れかし 己が身の 誕生の日は 母苦難の日」



親のこころ
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 288ページ
ISBN4-925253-11-5
http://www.10000nen.com/?p=566