法然上人、父の遺言「決して犯人を恨んではならない。すべて因果応報なのだ」

こんにちは、木村耕一です。


今年は、「法然上人800回忌」に関する記事を、よく目にします。
歴史の教科書に、法然上人の名前は必ず出てきますし、日本人で、その名を知らない人はないでしょう。
そんな偉大な法然上人も、もし、9歳の時に、父親の遺言がなければ、まったく違った、悲惨な人生を送ることになっていたかもしれません。


法然上人の父・漆間時国(うるまのときくに)は、美作国岡山県)久米の押領使でした。兵を率いて治安を守る役人だったのです。


しかし、保延7年(1141)の春、かねてから仲の悪かった武士の夜討ちに遭い、あえない最期を遂げてしまいます。
武士たるもの、戦場で果てるならいざ知らず、寝込みを襲われたのでは、悔やんでも悔やみきれないはず。


瀕死の父の元へ駆け寄った9歳の息子は、
「必ず、父上の恨みを晴らしてみせます」
と敵討ちを誓いました。


しかし、父は、苦しい息の中から、息子に、こう諭したのです。


「決して犯人を恨んではならない。
 私が非業の死を遂げるのは、前世からの種まきの結果であり、因果応報なのだ。
 もし、そなたが敵討ちをすれば、相手の子供が、またそなたを敵と狙うだろう。敵討ちが幾世代にも続いていく。
 愚かなことだ。
 父のことを思ってくれるなら、出家して、私の菩提を弔い、自ら仏法を求めてくれ」


時国の息子は、父の遺言に従い、敵討ちをあきらめ、仏道修行に励むようになりました。後の、法然上人の誕生です。


やられたらやり返すのが、世の中の常。
しかし、恨み、呪えば、身の破滅あるのみ。


親は、そんな悲惨な道へ、子供を進ませることはできないのです。
真に、子供の将来を見据えなければ、できない遺言だと思います。


新装版 親のこころ

木村耕一編著

定価 980円(税込)

(本体933円)

四六判 192ページ

978-4-925253-51-2

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