スティーブ・ジョブズも『徒然草』を仕事の指針にしていた

こんにちは、木村耕一です。


徒然草』は、兼好法師が亡くなって、300年もたってから、江戸時代の天才的な編集者の目に留まります。彼は、「いつの時代にも共通する素晴らしいメッセージだ」と直感。兼好法師の原稿に解説を加え、新たに編集して発売したところ、大ベストセラーとなったのです。
江戸時代から始まった『徒然草』ブームは、今も続いています。
日本人に最も親しまれている古典の一つであり、『徒然草』を題材とした人生論、ビジネス書、マンガなどが、実に多く発刊されています。
日本だけではありません。私がブラジルへ行った時、書店で、ポルトガル語に翻訳された『徒然草』を見つけ、驚きました。海外でも、読まれているのです。
アメリカで、アップルコンピュータ社を設立し、革新的な事業で大成功したスティーブ・ジョブズは、若い時から日本文化が大好きでした。仕事の進め方、信念を語る言葉の中に、まさに『徒然草』そのまま、といえるメッセージがあります。彼も、英訳で読み、仕事の原動力にしていたに違いありません。
ジョブズが感動した兼好法師の言葉の一つが、下記だと思われます。

もし、未来が分かる人が来て、
「おまえの命は、明日、必ずなくなるであろう」
と知らせてくれたら、どうしますか。
さて、今日一日、いつもと同じことに、せっせと取り組むことができるでしょうか。(徒然草 第108段)

このように世界的にも影響を与えている『徒然草』を、古典の名著と位置づけ、「古文は苦手だな」と、一歩引いて眺めていては、もったいないではありませんか。
そこで、誰もが、生き方を見つめるヒント集として、気楽に読める形にしておきたい、と思い立ち、現代の私たちに元気、勇気を与えてくれるところを選んで意訳したのが、『こころ彩る徒然草』です。