迷信(3)『徒然草』にみる「日の善悪」「縁起」


こんにちは、木村耕一です。

徒然草』といえば、吉田兼好が自由気ままに書いたエッセー集として有名です。
日本人に、最も読まれている古典ではないでしょうか。
江戸時代に大ブームを巻き起こし、今日まで「人生の教科書」として幅広く愛読されてきました。

その『徒然草』第91段に、
「日の善悪や縁起を問題にするのは迷信だ」
とハッキリ書かれています。
意訳を掲載しましょう。


「この日は縁起が悪い」と言って、特定の日を嫌って避けている人が多い。
なぜならば、その日に言ったこと、やったことは成就しない、手に入れたものもなくなってしまう、などと信じているからだ。

誰が言い始めたのか知らないが、実にバカげたことである。
わざわざ吉日を選んでやったはずなのに、成就しなかったものが、どれだけあるかしれない。
その数を数えてみると、縁起が悪い日にやって成就しなかったものと、きっと同じ数であろう。


吉日であっても悪を行えば、必ず悪い結果がやってくる。
縁起の悪い日であっても善を行えば、必ず善い結果が起きる。
幸、不幸は、その人の行為によって決まるのであって、日の善悪とは関係ないのだ。
(『思いやりのこころ』第3章「つれづれ草の薫り」より)



吉田兼好は、出家して仏教を学んでいたので「兼好法師」とも呼ばれています。
彼が、ここまで断言したのは、
「仏教では、日の吉凶、善悪は、迷信として排斥する」
という、釈迦の教えに従ったからにほかありません。





思いやりのこころ
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 288ページ
ISBN978-4-925253-28-4
http://www.10000nen.com/?p=581