こんにちは、木村耕一です。
「ああ、もうだめだ」と嘆いたり、「こんなに苦しいならば……」と落ち込むことは、ありませんか。
イソップのアドバイスを聞いてみましょう。
大木の根元に、小さな穴があいていた。
お腹をすかせたキツネが、その中に隠してあったパンと肉を見つけた。羊飼いが置いていったらしい。
キツネは、狭い入り口から、やっとの思いで中へ入った。久しぶりのご馳走である。
夢中になって、全部、食べてしまった。
さて、外へ出よう、と思ったが、出られない。ふくらんだお腹が穴につかえてしまうのである。
「ああ、閉じ込められてしまった。こんな暗い所で、一生を過ごさねばならないのか……」
と、泣いてばかりいる。
そこへ別のキツネが通りかかった。
泣き声に驚いて、駆け寄り、訳を聞いてから言った。
「この穴に入った時と同じ状態になるまで、待つことだ。お腹がすけば、楽に出られるさ」
時の流れが、困難を解決してくれることが多い。
(『こころの朝』より)
苦しみに直面して、途方に暮れることがあります。
そんな時は、無理に力まずに、静かに時の流れを待つのも、一つの方法です。
心に怒りの炎がある状態では、何を言っても、やっても、うまくいきません。周り中に火をつけ、苦しみが増えていきます。
「あいつのせいだ」「こいつが悪い」「なんで自分が、こんなめに」と、愚痴の心がうずまいている間は、前向きな解決策は浮かびません。ますます破滅へ向かっていきます。
いつまでも腹を立てたり、愚痴を言っていると疲れますから、必ず、おさまっていきます。
人間関係のもつれや、感情的な対立の場合は、なおさら時間をおいて、互いが冷静さを取り戻すまで、待ったほうがいいと思います。
こころの朝
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN4-925253-18-2
http://www.10000nen.com/?p=592
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