徒然草の教訓「悔いなき人生の秘訣、優先順位をハッキリさせる」



こんにちは、木村耕一です。
しばらく「夏休み」で原稿を更新していませんでしたが、本日から再開します。


あっという間にお盆も過ぎ、まもなく9月。
やるべきことが山のようにあります。
忙しい、忙しいと走り続けているうちに、今年も終わりそうな予感がしませんか。
こんな毎日の繰り返しでいいのでしょうか。
徒然草』188段には、1人の男の生涯を例に、「悔いなき人生の秘訣」が書かれています。

ある人が、
「おまえは、仏教の学問をして、説教師になりなさい」
と、子供に言った。
素直に従った彼は、まず、馬の乗り方を習い始めた。
「法事の時に、馬で迎えに来られたら、どうしよう。まともに乗れなかったら恥ずかしいではないか。落馬したら大変だ」
と思ったからである。
さらに、歌の稽古にも励んだ。
「法事のあとで、お酒が出るだろう。何も芸ができなかったら、招待してくれた人が興ざめするに違いない」
と、彼なりに考えた結果であった。
乗馬と歌は、次第にうまくなっていった。
上達すればするほど、おもしろくなってくる。
しかし、本来の目的であった、仏法を学ぶ時間がないまま、年をとり、大いに後悔したのであった。
愚かなのは、この男だけではない。
大きな目標を立てても、『まだまだ生きていられる』とのんびり構え、目の前のことに心を奪われている者ばかり。
これでは、何一つ成し遂げられない。
どんなに悔やんでも、過ぎ去った歳月は返ってこないのだ。
しかも肉体は、勢いよく坂を下る車輪のように、急速に衰えていくのだ。



では、どんな心がけが必要なのでしょうか。
徒然草』は続けます。

まず、生涯に果たすべきことの中で、一番大切なものは何か、よく考え、ハッキリさせることだ。
それ以外のことは思い切って断念し、最優先すべき目的に向かって努力すべきである。
それは、一日、一時に縮めても同じである。やるべきことが山ほどある中で、何が一番重要かを的確に判断しなければならない。
それ以外は投げ捨てて、少しでも価値の高いものから順に取り組むべきだ。
どちらも捨てられないと執着していては、一つも成就しないであろう。
(『徒然草』188段)


目的がハッキリすれば、何を優先すべきか、自と明らかになります。
慌ただしい現代にこそ、必要な心がけではないでしょうか。