三国志(7)「オレの人生、これ一つに打ち込んで悔いはない、といえるものは、どこにあるのか」若き劉備玄徳の悩み

こんにちは、木村耕一です。


雄大な自然の風景をながめていると、心が広くなるというか、「人間って、なんだろう」と感じることはありませんか。


吉川英治の『三国志』に、次のような場面があります。


ある日、劉備玄徳は、黄河のほとりにたたずんでいました。
向こう岸が見えないほどの、広い広い河に、満々たる水が流れています。

玄徳は、黄色い大河に眼をやると、思いを深くして、
「ああ、悠久なるかな」
と、つぶやいた。
4、5年前に見た黄河もこの通りだった。
おそらく百年、千年の後も、黄河の水は、この通りにあるだろう。
天地の悠久を思うと、人間の一瞬がはかなく感じられた。
小功は思わないが、しきりと、生きている間の生き甲斐と、意義ある仕事を残さんとする誓願が念じられてくる。
    (吉川英治三国志』1)


500人の義勇軍を引き連れて、戦場から戦場へと旅をする日々。
命がけで戦って勝利しても認めらない……。
味方同士でも、感情や利害をめぐる争いがつきない世の中……。
劉備は、わきあがるむなしさを、どうすることもできませんでした。


目の前を流れる黄河は、実に雄大です。
人間が泣こうが、笑おうが関係なく、百年後も、千年後も、大河の水は変わらずに流れていくことを思うと、人間の一生など、ほんの一瞬のようにしか思えません。


そんな短い人生で、何をなすべきなのか。
欲や怒りのために、貴重な一生を無駄に使いたくはないのです。


20代の劉備玄徳のつぶやきを分析してみましょう。


「小功は思わないが、しきりと、生きている間の生き甲斐……」
  
「一時的な名誉や地位など欲しいとは思わない。
 オレの人生、これ一つに打ち込んで悔いはない、といえるものは、どこにあるのか。本当の生き甲斐を早くつかみたいと、心は焦るばかりである」


「意義ある仕事を残さんとする誓願が念じられてくる」
  
「はかない一瞬の人生において、本当に意義のある仕事を成し遂げたい、というのが、私の悲願である」


こういう劉備玄徳の気持ちは、よくわかりますよね。


青春時代に、
「生きる意味は何か」
「本当の生き甲斐とは」
「人生の目的はあるのか」
と真剣に悩むことは、とても大事なことだと思います。



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