失敗して大抜擢された津田永忠、ごまかさない、ウソをつかない



こんにちは、木村耕一です。

人間、だれでも、失敗することがあります。
大切なのは、その時の対処です。
ごまかすか、正直に謝るかで、生涯が大きく変わります。

江戸時代、備前岡山で、農業政策や教育の充実など、多くの業績を残した津田永忠の、若き日のエピソードを紹介しましょう。


「今、何時じゃ」
藩主・池田光政は、夜中に、ふと目を覚まし、隣の部屋に向かって尋ねた。
そこには寝ずの番が詰めているはずである。
一睡もせずに警護する役目だ。
この日は、17歳の津田永忠の番であった。ところが、不覚にも居眠りをしてしまい、彼は時計の時報を聞き逃していた。

さて、何と答えるか。

永忠は、率直に、
「申し訳ございません。つい寝てしまい、何時か分かりませぬ」
と謝った。

この時、藩主は、その怠慢を責めなかった。
「事を成すべき男なり」
と独り言を言ったと、記録されている。

失敗した時には、とっさに、ごまかしたり、ウソを言ったり、言い訳をしたりしがちである。
しかし、永忠は正直に答えた。
この点を藩主は高く評価し、
「大きな仕事を任せることができる男だ」
と見抜いたのであった。
(『思いやりのこころ』より)



「ごまかさない」
「ウソをつかない」
「言い訳をしない」
これは、信用を得るためには、当然の心構えです。

しかし、「頭で分かっている」のと「身についている」のは、大違いです。
正直に言おう思っても、激しい葛藤が起き、気がついたら「ウソ」「言い訳」を口にしていることが、多いのではないでしょうか。

だからこそ、とっさの時でも、ごまかさない人が、光るのです。





思いやりのこころ
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 288ページ
ISBN978-4-925253-28-4
http://www.10000nen.com/?p=581