「たとえ相手が目下の者であっても、偉そうにせず、心を込めて礼状を書くべきだ」加賀100万石、前田利家のアドバイス

こんにちは、木村耕一です。


「絆(きづな)」や、人と人の関係を大切にしようという機運が高まっているように思います。


5月に発売した新装版『こころの道』を贈呈した、ある会社の社長から、
「痛い!と感じる話がありました」
と電話がありました。


「どの章ですか」と尋ねると……。


「戦国武将の前田利家が、たとえ相手が目下の者であっても、心をこめて礼状を書くべきだと言っているエピソードです。

会社で、部下からきたメールに、返事を出さなかったり、粗略な返事を書いたりしていたな、と反省しました。

そういうことが、『偉そう』とか『横柄だ』と感じさせてしまうのですね。

さすが、加賀100万石を築いた前田利家の心遣いです。

すごく、ためになりました。
皆で、力を合わせて仕事をしていける会社にしたいと思います」


新装版『こころの道』に掲載した前田利家のエピソードは、以下の通りです。

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目下の者に出す手紙ほど、丁寧に書くべきだ
 前田利家 心のこもった礼状の書き方


人から何かもらったら、必ず礼状を出す。
今も昔も、変わらない大切な心がけである。


では、相手が年下や、立場の差が大きい時に、どんな文面を書くだろうか。
加賀百万石の大名として有名な、前田利家に、こんなエピソードがある。


ある時、利家の館に、福島正則から、鯉が二匹贈られてきた。
利家は、さっそく礼状を書くように、家臣へ命じた。


差し出す前にチェックすると、文面は、わずかに、
「鯉二尾到来、満足せしむ」
であった。


利家は怒った。
「なんだ、この礼状は。役所の文書でもあるまいし、少しも心がこもっていないではないか」


福島正則は、利家より二十三歳も年下である。しかも、武将の地位に大きな開きがある。こんな場合、横柄になったり、見下げた態度をとったりしがちである。


だが、利家は、家臣に教えた。


「厚意を寄せてくれた相手の心を敬い、『お心をかけていただき、かたじけない』というように、もっと丁重に書かねばならない。目下の者に対する手紙ほど、丁寧に書くべきなのだ。


目上の者が丁重に書いたら、バカにされるのではないか、と思うかもしれないが、それは大きな間違いである。相手は、なお一層、『申し訳ない』と感じて、慕ってくれるだろう。


見下した書き方をすると、いかにも、『おまえと俺は、こんなに身分が違うのだぞ』と言わぬばかりではないか。そんなことをすると、相手の心が傷つくだけだ。
傲慢なふるまいは、愚か者が好んですることである」


戦国武将というと、無骨で、戦闘シーンばかり連想しがちであるが、なんと謙虚で、細やかな心配りであろうか。
信頼関係を深めるうえで大切な心得であろう。


              (新装版『こころの道』より)

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新装版 こころの道 ものの見方、考え方ひとつで、新しい風が吹いてくる
木村耕一編著
定価 980円(税込)
(本体933円)
四六判 224ページ
ISBN 978‐4‐925253‐59‐8
http://www.10000nen.com/?p=6689


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