こんにちは、木村耕一です。
原稿に行き詰まり、ちょっとテレビをつけると、「10年先も君に恋して」をやっていました。(内野聖陽・上戸彩主演)
セリフに引きつけられ、ついつい見てしまいました。
出版社に勤務する女性編集者・里花(上戸彩)の前に、サングラスをかけた中年男性が現われます。10年後の未来からタイムスリップしてやってきた将来の夫・博(内野聖陽)でした。
そして、里花に、こう告げます。
「自分たちの夫婦関係は、10年後には冷え切っており、離婚寸前。
僕は、君を幸せにできなかった。
君は、僕を幸せにできなかった。
だから、これから出会う僕と結婚しないでほしい」
やがて、現実の博は、里花に、
「僕は、君との出会いに運命を感じる。たとえ断られても、何度、過去に戻ってやり直しても、君にプロポーズする。後悔しない」
と告白。2人は交際を始めます……。
なかなか考えさせられる対比です。
若き日の博の気持ちも、10年後の心情も、ウソではありません。
複雑ですね。
『平家物語』の一節を思い出しました。
泣いてばかりいる娘に、母が、こう言って慰めます。
「男女の縁というものは、前世からの約束事で、千年も万年もと契ろうとも、すぐに別れる仲もあり、かりそめと思うても、長く添い遂げることもある。
世に定めなきは、男と女の間のことなのですよ」
この娘の名は、平清盛に捨てられた祇王。
一度は身投げまでしようとしますが、やがて母子そろって仏門に入ります。
「前世も夫婦であったに違いない」
と思えるほど、すべてピッタリで、アツアツのカップルもいます。
永遠の愛を誓ったはずなのに、
「前世は敵同士だったのではないか」
と疑いたくなるほど、反目している夫婦もあります。
「思い切れとは死ねとのことよ」
と、恋い焦がれていても、時がたてば、
「なぜ、あれほど?」
と思えることもあります。
相手も変わり、自分の心も変わっていきます。
男と女の幸せは、いったい、どこにあるのでしょう。
歴史上、数々のロマンスがありますが、なぜか、悲しい結末のほうが多いようです。