警察官が自転車を盗む世の中。上杉鷹山の時代と、どちらが幸せ?



こんにちは、木村耕一です。


故郷の、JR駅前に市営駐輪場があります。
あふれんばかりの自転車がズラリ……。
そして、いつも同じ放送が、エンドレスで流れています。


「鍵をかけていきましょう。鍵かけないと、盗られるよ!」
(実際には、この意味の方言です)


帰省して、駅に降り立つたびに、この放送を耳にし、寂しい、悲しい思いになります。こんなにも、人の心は、すさんでしまったのでしょうか。




9月2日の読売朝刊に、
「神奈川県の警察官が自転車を盗んだ」
という記事がありました。
事件を起こした警察官は、朝、遅刻しそうになったので、レンタルビデオ店の前から自転車を盗み、約2キロ離れたJRの駅へ向かったのでした。しかし、店の防犯カメラに、しっかりとキャッチされていて御用!
盗みを取り締まる警察官が、自転車を盗むとは……。
驚きと同時に、故郷の駐輪場の放送が、耳の奥からわいてきました。




ここで思い出したのが、『まっすぐな生き方』に書ききれなかった、上杉鷹山(うえすぎ・ようざん)のエピソードです。
1802年、鷹山の藩政改革で生まれ変わった米沢藩を訪れた、ある人物の見聞記に、次のように書かれています。


「米沢の市街から離れた道路脇に、小さな店が、いくつもある。
そこには、ぞうり、わらじ、果物などが並べられているが、店番は誰もいないのだ。
道行く人は、自分の欲しい品を持っていくが、必ず値札どおりのお金を置いていく。決して盗んでいく者はない。
実に、驚くべきことである!」


人間として当たり前のことを、誠実に実行しようという、上杉鷹山の呼びかけが、藩内に浸透した結果だと思います。


もし、200年前の鷹山が、平成の世に現れたら、何と言うでしょうか。