沖縄の「興南」優勝と、円谷幸吉のメッセージ



こんにちは、木村耕一です。


高校野球夏の甲子園で優勝したのは、沖縄の興南
沖縄に初めて、深紅の大優勝旗をもたらしました。


監督の我喜屋(がきや)さんの指導法に注目が集まっています。
なぜ、監督就任後、わずか3年で、この快挙を成し遂げることができたのか。
インタビューの中に、とても印象的な言葉がありました。


「選手に、まず、整理整頓や時間を厳守させました。
『小さいことができないと、大きいこともできない』と生活面を厳しく指導したのです。
すると、ミスが減り、選手はみるみるうちに変わっていきました」


これは、『まっすぐな生き方』で紹介した円谷幸吉つぶらや・こうきち)の言葉と通じるものがあります。
円谷は、日本人で初めて、オリンピックのマラソンで、メダルを獲得した人物です。
福島県の「円谷幸吉メモリアルホール」には、直筆で、次の言葉が展示されています。

「マラソンはごまかしがきかない真面目なスポーツである。
自己を裏切れば、その結果が成績として現われる。
正しい生活、正しい精神、正しいトレーニングより、実力が発揮される。
ラソン即人間教育であり、社会教育と考える」



走る技術や、トレーニング方法ばかりに目がいってしまいがちですが、円谷は、それらを支える精神、生活態度を、とても重視していました。


陸上の強化合宿などで、円谷と同室になった人からは、いつも驚きの声が上がっていました。
円谷は、寝る時も、入浴時も、衣服を脱いだら下着に至るまで、きれいにシワを伸ばしてたたんでいたといいます。
朝は皆、慌ただしく布団から抜け出しますが、円谷の寝具は、いつも、きちんとたたまれていました。


また、ほとんどの選手は、グラウンドでスタートラインに立つ前に、トレパン、トレシャツを、そのまま脱ぎ捨てるか、仲間に、ぽいっと投げ渡します。
ところが円谷は、気持ちが高ぶっているはずなのに、物静かな顔つきで、衣類を丁寧にたたみ始めるのでした。


忙しさ、慌ただしさ、高まる緊張感にも左右されず、きちんと整理整頓ができるのは、心の鍛錬の表れといっていいでしょう。
こういう姿勢で、コーチの指示に、愚直に従ったからこそ、短期間で諸先輩を追い越し、日本人初のマラソンメダリストに飛躍することができたのだと思います。




まっすぐな生き方
木村耕一著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN978-4-925253-41-3
1万年堂出版発行
http://www.10000nen.com/?p=574