貝原益軒、親孝行の「養生訓」。父母の健康にも、大きな影響



こんにちは、木村耕一です。


健康読本の超ロングセラーといえば、貝原益軒の『養生訓』があります。
江戸時代に発売され、300年ほどたった今日でも人気があります。


幼少から体が弱かった益軒は、中国の漢方医学書や様々な健康法を精力的に学んでいきました。
しかも、その記述を鵜呑みにせず、自らの体で効果を確かめ、日本人の体質に合った健康法を集めていったのです。
83歳にして、生涯かけた研究成果をまとめたのが『養生訓』でした。


心の持ち方が、健康に大きな影響を与えると説く益軒は、「親」と「子」の在り方を、次のようにアドバイスしています。

世の中を眺めてみると、年老いて子に養われている人の中には、若い時よりも怒りっぽくなり、子や人を責めてばかりいる人が多い。
それだけでなく、欲も深くなっているようだ。
健康のためには、なるべく怒りと欲を抑えたほうがよい。
わが子の不孝を責めず、物事に寛大になるように心掛け、心を楽に保つべきである。


子としては、年寄りの性質をよくわきまえ、父母が怒りを起こさないように、ふだんから気を配っておくことが大切だ。
父母を怒らせるのは、大変な不孝だからである。
また、親から「おまえのような親不孝者はいない」と責められた子供が、反対に「うちの親はボケてしまった」などと悪口を言いふらしている。これこそ、大不孝である。


年老いると、寂しさに耐えられなくなるものだ。
これがまた、健康に悪い。
子たるものは、時々側へ行って、何でもいいから話をして、親の心を慰めたほうがよい。
友人や妻子とは親しく行き交い、いつまでも語り合っていながら、父母に対しては面倒がって、ほとんど話をせず、近づこうともしない。こんな者は、自分の親を愛さず、他人を愛しているのだ。恩を受けた親を遠ざけるとは、全く道理に背いている。なんと愚かなことか。
(『養生訓』巻第八)



人生の大先輩からのお叱りです。
300年前も、今日も、変わらない心得だと思います。