大相撲に贈る「過ちを反省し、飛躍のバネに変えた陸奥宗光」



こんにちは、木村耕一です。


野球賭博の問題で、大相撲が揺れています。
「反省が足りない」、としてNHKの中継も取りやめ。


過ちは、誰にでもあります。
問題は、反省して、どう進むかです。


不祥事を起こした相撲界の親方や力士に、読んでもらいたいエピソードがあります。

幕末に、坂本竜馬の弟子として活躍した陸奥宗光(むつむねみつ)は、維新後、明治政府の高官になっていた。
出世コースを歩んでいたのである。
ところが35歳の時に、反政府運動に便宜を図ったとして、突然、逮捕された。
取り調べに対し、陸奥は、関与を否定しながら、
「まったく軽率であった。愚かであった」
と繰り返すばかりであった。
事実か否かは別として、疑われるような言動をとったことは、政治家として大失敗であった。


「我が半生の一大厄難である。消すことのできない汚点を残してしまった」
と嘆いている。


陸奥は、5年間の禁錮刑を宣告された。
体は、山形の監獄へ送られる。


ここで、ただ落ち込んでいたならば、歴史に「陸奥宗光」の名前は残らなかったに違いない。
彼は、
「この機会に、勉強して自分を磨こう」
と決意した。


幸い、監獄の中では書を読むことが許されたので、家族から、大量の書物が送り続けられた。
獄中から妻にあてた手紙には、
「毎朝8時ごろより、夜は12時まで、努めて書を読んでいる。1日も怠ることがない」
と記している。
まさに身を削る猛勉強の日々であった。


陸奥は、監獄の中で、欧米の政治体制から中国の歴史までを徹底的に学び、混迷する日本の取るべき道を研究した。


刑期を終えたあと、ヨーロッパに留学して、さらに勉学を続けている。
やがて、努力が認められ、外務大臣に就任。
イギリスとの熾烈な交渉の末、明治政府最大の懸案であった不平等条約の改正に成功する。
明治27年のことであった。


監獄からカムバックした男が、「日本外交の父」と称えられるようになったのである。
(『こころの道』より)



人生最大の過ちを、飛躍のバネにした陸奥宗光の姿には、学ぶところが多くあります。
現在放送中の、NHK大河ドラマ龍馬伝」に、「陸奥陽之助」の名で登場している若者こそ、後の、陸奥宗光なのです。



こころの道
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN4-925253-14-X
http://www.10000nen.com/?p=595