迷信(13)秀吉、「非常な悪日」に出陣し大勝利



こんにちは、木村耕一です。


天下をとった秀吉には、迷信を笑い飛ばす力がありました。


織田信長が、明智光秀に殺された」という情報をキャッチした秀吉は、全速力で、備中(岡山)から姫路城へ引き返します。
有名な「中国大返し」とは、この時のことをいいます。
いったん休息をとり、
「いよいよ明日、出陣!」
と告げると、日程の変更を進言する者が現れました。
司馬遼太郎の『新史太閤記』には、次にような場面があります。

陣中僧があらわれ、
「あすという日は、非常な悪日でござる」
と、卦を立てた結果を報告した。卦によると、城主が2度と帰らぬ日であるという。これほどの悪日はないであろう。
「ばかをいえ」
秀吉は叫んだ。みなも聞け、「2度と帰らぬ」とはこれほどの吉日はないぞ。もとより討死の覚悟なればこの秀吉ふたたび生きて帰るつもりはない。
「さらには」
秀吉は、声をはりあげた。――この一戦でもし光秀に勝たば思いのままにどの土地かへ居城を構えることになろう。どちらにしても2度と帰らぬとはわがためにみごとな吉日であるわ、といった。




占いで「非常な悪日」とされる日に出陣した秀吉は、大勝利し、天下取りのチャンスをつかみました。
占いや、縁起をかついで、「日の善悪」を問題にするのは、まったく意味がありません。
自らの強い意志と、行動力で、未来は開けていくのです。