上杉鷹山、敬老の精神を教え、自ら実践



こんにちは、木村耕一です。


米沢藩上杉鷹山(うえすぎようざん)は、
「年老いた者には、気を遣い、力を尽くして大切に接するべきである」
と教えていました。
自らも、次のように実践していました。

安永6年、鷹山は、藩士の家族の中で、90歳以上の老人を城に招いて懇親会を設けている。


老人は、今こそ腰が曲がり、歩くこともままならず、家族に迷惑をかけているかもしれない。だが、この親がなければ、子供が育たなかったのだ。孫も生まれていない。
いかなる貧苦にも耐えて、働いてきてくれたからこそ、現在の家庭もあり、国家も築かれてきたのだ。その恩を思うと、ねぎらわずにおれない。
鷹山は、優しく言葉をかけ、服や金子を贈った。


また広間で行われた会食の席には、子や孫を2、3人ずつ付き添わせた。
付き添いの家族に、鷹山は、
「今日は無礼講だ。おまえたちの両親や祖父母をいたわり、心を込めて食事の世話をして、楽しく過ごしなさい」
と言ったので、仲むつまじい笑い声が絶えなかった。


この宴に参加した人や、後で伝え聞いた人々は、皆、今までの行いを反省し、
「もっと年寄りを大事にし、親の恩に報いるように心掛けていこう」
と強く知らされたという。


鷹山は、町民、農民に対しても、同じように接した。
90歳以上の老人を代官所へ招いて「養老米」を贈り、会食したのであった。
以後、毎年元日に、90歳以上の老人には、服や米が、祝いとして贈られることになったのである。


また、鷹山は、領内の村々に、次のような通達を出している。
「70歳以上の者には、村の者が、皆で協力して、よくいたわるようにせよ。
90歳以上の者には、また格別の心遣いをせよ」


他人に言うだけでなく、鷹山自身も、近くの村に95歳の老人がいると聞くと、早速訪ねて労をねぎらい、祝い酒と扇子を贈っている。
農民にとっては、非常な驚きである。殿様が、敬老の精神で慰問に来るなど、まさに「格別の心遣い」であった。
(『まっすぐな生き方』より)



「子供笑うな来た道じゃ。年寄り笑うな行く道じゃ」
老人といっても、最初から年寄りだったわけではありません。
自分の未来の姿なのです。


「親捨てた 報いで子にも捨てられる」
親に育ててもらった恩を忘れ、会話もなく、冷たく接していたならば、やがて自分が年老いた時に、同じ報いを受けるでしょう。
これを、「因果応報」とか、「自業自得」といいます。


まっすぐな生き方
木村耕一著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN978-4-925253-41-3
1万年堂出版発行
http://www.10000nen.com/?p=574